分限免職処分(ぶんげんめんしょくしょぶん)とは

一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合などその職に必要な適格性を欠く場合、身分保障の限界なので職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のことで、分限免職処分になることはめずらしい。

その職に必要な適格性を欠く場合を「当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうものと解されるが、この意味における適格性の有無は、当該職員の外部にあらわれた行動、態度に徴してこれを判断するほかはない。その場合、個々の行為、態度につき、その性質、態様、背景、状況等の諸般の事情に照らして評価すべきことはもちろん、それら一連の行動、態度については相互に有機的に関連づけてこれを評価すべく、さらに当該職員の経歴や性格、社会環境等の一般的要素をも考慮する必要があり、これら諸般の要素を総合的に検討したうえ、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連においてこれを判断しなければならないのである。」と地方公務員法第28条第1項第3号に定められている。

職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当(退職金)が支給される。つまり「あなたは公務員(またはこの職種)には向いていないのではないか、あなたのためにも民間企業に移った方がいい」という意味で自主退職を促す処分。

公務員については、身分が保証され、国家公務員については国家公務員法又は人事院規則、地方公務員については地方公務員法又は条例に定める事由による場合でなければ、その職員は意に反して、降任、休職、降給、又は免職(解雇)されることはなく、民間には程遠い甘い体質がある。なお、任命権者が分限処分を行う場合は公正でなければならないとされている。このために能力不足な人材が居座り続けることを防ぐ目的で橋下市長の大阪市が積極的に活用をはじめた。

大阪市教育委員会は2016年7月11日、指導の適格性に問題があるとして、市立中の女性教諭を分限免職処分にしたと発表した。市教委による分限免職処分は通算で6人目の分限処分となる。市教委によると、女性教諭は特別支援学校の教諭だった時、目が全く見えない生徒に「時計を見なさい」と発言したり、体調を崩していた生徒に適切な措置を取らなかったりするなど、不適切な指導を繰り返していたことから処分したとのこと。

2010年1月に「日本年金機構」に移行する社会保険庁で、正規職員約1万3100人のうち、日本年金機構や厚生労働省などへの再雇用から漏れ、再度の日本年金機構の准職員への応募や厚生労働省の地方厚生支局での非常勤職員への有期雇用、勧奨退職等に応じなかった職員525人が分限免職された。組織の改廃に伴う国家公務員の分限免職は1964年を最後に例がなく、訴訟にまで発展している。また分限免職を受けた職員のうち39名が人事院に取消を訴えた結果、24人については分限免職が取り消されたこともある。

戦前においては文官分限令第11条において「官庁事務ノ都合ニ依リ必要ナルトキ」には任命権者は官吏(公務員)を休職(当時は「非職」とも呼称した)を命じる事が出来るとあり、任命権者が「官庁事務」にとって不都合と判断した官吏に対して休職を命じることが出来た。

分限降任
現在の職より下位の職に任命する処分をいう。
分限免職
職員の意に反してその職を失わせる処分をいう(処分の目的は異なるが、離職させる効果は懲戒免職と同じ)。
分限休職
職を保有したまま職員を一定期間職務に従事させない処分をいう。停職処分ともいう。
分限降給
職員が給料よりも低額の給料額に減給する処分をいう。なお降任に伴い給料が下がることは、降任の効果であって、降給にはあたらない。
現在、実際に行われる分限処分は、疾病による分限休職と分限免職がある。

職員が、次の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
・勤務実績が良くない場合
・心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
・その他その官職(職)に必要な適格性を欠く場合
以上3点は、その職員の容易に矯正できない素質・能力・性格等によって、その職務の円滑な遂行に支障があることをいう。 その職員自身に責任があるかどうかは関係がない。
官制(職制)若しくは定員(定数)の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

降給の事由は、国家公務員は人事院規則、地方公務員は各地方公共団体の条例で定めるところによる。

任用における以下の事項(欠格事項)に該当する者は、職員となりえない。
・成年被後見人又は被保佐人
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
・懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
・日本国憲法 施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
職員が欠格事項に該当することになったときは、人事院規則又は当該地方公共団体の条例に定める場合を除いて、任命権者の何らの処分を要することなく、当然に失職する。この意味で失職は、任命権者の処分による分限処分(免職)とは異なる。

分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の…目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤つた違法のものであることを免れないというべきである。

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