超シュールな「Mr.ビーン」ローワン・アトキンソンの意外な素顔

ミスター・ビーンとして言葉の壁を越え、世界中に笑いを振りまくコメディー俳優ローワン・アトキンソン。英国人の変なおじさんとして有名なアトキンソンだが、裕福な家庭に育ち、名門オックスフォード大卒で数学と物理に長ける理工系の秀才だ。シリアス口調で語った意外な素顔とは?

──オックスフォード大時代からプロとして活躍されるようになったそうですが、理工系の大学生がコメディー俳優になったいきさつを教えてください。

「実は演技は9歳のころからやっているんだ。学校の演劇だが。だから演技は長い間趣味としてやっていた。エンジニアリング、物理や数学は学業の上でやりたくて選んだ道だった。ところがオックスフォード大学で今も親友であるリチャード・カーティスと出会い、組んで仕事をするようになった。少しずつコメディーのスケッチを執筆したり、ショーを企画したりすることを始め、それがだんだんと時間をかけてゆっくりと発展していったんだ。次第に趣味が仕事になっていったんだよ」

──ミスター・ビーンやジョニー・イングリッシュとして有名なので、出かけたときいろんな人に声をかけられるのでは?

「役柄とは違った人でいるということが好きなんだ。僕が演じているキャラクターのような人間と信じている人もいるが、他方で僕がミスター・ビーンやジョニー・イングリッシュと全然違う人間なんだと知っていて、僕に対して懐疑的な姿勢をとる人もかなりいる。それはそれでいいんだ。私生活ではキャラクターと別の人間でいたいから。二人の間に距離があるのは良いことだと思うから」

──新作映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」が公開となります。もともとクレジットカードのコマーシャルに登場したスパイ・キャラクターを長編映画化した映画が初めて公開になったのは約15年前。ジョニーはコマーシャルのキャラがもとになっているんですね。

「確かにあのコマーシャルがなかったらジョニー・イングリッシュは存在しなかっただろう。僕がコマーシャルで発案したキャラクターは短編映画のようだったから、映画化は自然な発想だった。設定はスパイの世界だったから映画にしやすく、幸運にも1本目がヒットした」

──15年前に大ヒットし、今回が3作目という一大プロジェクトに発展したことは、驚きですね。

「確かに。3本に15年かかったのは、僕が少々レイジーだからなんだが。興行的にも成功し嬉しいし、よい案が浮かべば3本目もアリだと思っていたんだがね」

──架空のジョニー・イングリッシュとあなた自身との共通点はありますか?

「長所については、共通していると言いたいが……。彼は意志が固く勇敢だ。僕はあまり勇敢ではないが、意志の固いところは共通しているかもしれないね。それ以外の彼はあまり好きではないんだよ。自己中心的で、10代のように子供っぽいところがある。欠点がたくさんある男だよ」

──63歳のあなたにとって映画の撮影で身体的につらいシーンはかなりありましたか?

「体力を必要とするシーンが多かったから、理学療法士に撮影現場に待機してもらっていた。体力を使うシーンは準備体操を欠かさないようにした。実は前作で、ふくらはぎの筋肉を痛め4、5日撮影を延期したことがあったんだ。今回はそういうことがないように健康管理に気を使ったんだよ」

──普段の健康管理はどのように気を配っていますか?

「運動は少しやっている。サイクリングは好きで、よくする。でも何かのスポーツをしているというわけでもない。サイクリングが中心だね。ジムでトレーニングすることはないよ」

──新作のテーマはアナログ対デジタルの世界なわけですが、あなた自身はハイテクな人ですか?

「ある程度テクノロジーには対処できているよ。電子工学と電気学の学位を持っているからテクノロジーが怖いとは思っていない。便利だからという理由でインターネットは使うが、ソーシャルメディアには全く興味がない。ツイッターやフェイスブックのアカウントは持っていない。ソーシャルメディアの世界は奇妙だと思うし、その一部になりたいと思わない。世の中の大半の人が話し合う媒体として意識はしているが。ソーシャルメディアは危険だと思う。他人を批判し、評価しようとする過酷な環境だと思う。僕は関わり合いたいと全く思わないんだ」

──映画はおかしいシーンが満載です。お気に入りのシーンはありますか?

「クラブで踊るシーンはとても馬鹿げていて見ていて楽しい。また僕は車好きだから車を運転するシーンはどれも好きだ。バーチャルリアリティーのシーンはうまく構成できて満足している。あのシーンを思いついたときはすごく嬉しかった。実際に撮影するのはとても難しかったがね。最終的にはとてもうまくいったと思っている」

──車好きだそうですが、収集家ですか? レースにも参加したりするそうですね。

「僕は収集家とは言えないだろうな。数台所有している程度だから。収集するよりは、車に乗るのが好きなんだ。車を集める人の多くはガレージに保管していて眺めるのが中心で1年に1度しか運転しないとか……。僕の場合は運転する。車は動いていなければ車ではない、というのが僕の考え方だから。今は5、6台持っているが常に買い替えている。来年は今と全く違う車を5、6台持っているかもしれない。特にどんな車が好きというわけでなく、いろんな種類の車が好きなんだよ」

──例えばどんな?

「クラシックカーには興味がない。今、所有している車で一番古いのは1993年製かな。ビンテージカーに興味はないんだ。車を運転するのが好きなんだ。運転はとても治癒的な余暇の過ごし方、趣味セラピューティックだと思う」

──ホンダ・シビックなどを所有されていたそうですが、今は何に乗っておられるのですか?

「今、持っている車の一台はBMWi3で、映画に出てくるのと同じ電気自動車だよ。白い小型の車だ。どんな車でも運転するのは楽しい。高級車や優れた車である必要は全くないんだ」

──あなたの運転への一途な愛というのは、いかにして育まれたのですか?

「父が農場を持っていて、子供のころから身近に乗り物がたくさんあった。トラクターだったり、自家用車だったり。農場というのは最高の環境なんだよ。運転を習得するにはもってこいの場所だし、運転が楽しめる場所なんだ。だから若いころは公道を走る前に、家の農場でかなり長い間運転していたんだ」



この記事へのコメント